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嗜癖(しへき)とは?

アダルトチルドレンについて、嗜癖とは?

嗜癖とは、アダルトチルドレンと、たいへん関係のある、病的な症状です。
物や行動、人などに、過度に依存していて、本人の意志だけでは改善できない場合を指して言います。
「依存症」とも言い換えることができます。
英語では「アディクション」と言います。

例えば、そもそも、アダルトチルドレンという言葉自体の語源が、アルコール依存症の親のもとで育ち、成人した人という意味です。
この、「アルコール依存症」が、嗜癖の1つです。
自分が生まれるよりも前に、親が、すでに嗜癖を抱えていたというケースも、少なくありません。

もともとは好きで始めたことが、だんだんやめられなくなり、本人も周りの人も困っているのに、どうにもできず、専門医や精神科医の治療が必要となってしまうのです。
(ご本人には問題意識がなく、ご家族など、周りの人がとても困っているケースもあります)
嗜癖の「嗜」の字は、「嗜好品(しこうひん)」の「嗜」です。

お酒に限らず、タバコでも、薬物でも、よく見られます。
また、物に依存するというよりも、買い物(お金を払って、商品を受け取ること)やギャンブル(お金を払って、賭けをすること)など、その行動に依存してしまう場合もあります。
さらには、人間関係に依存してしまう場合もあります。
次のページに書く「共依存とは?」で詳しく述べますが、夫婦や恋人、親子などに依存する場合です。

嗜癖の困った点は、それが、好きでしているのか、やめられなくなっているか、区別がつきにくいところにあります。
例えば、「毎晩の晩酌を、小さな楽しみにしている」という人は、病的に依存しているとは言えませんね。
「ストレス発散で、今日は衝動買いしちゃった!」という場合も、たまにする分には何も問題ありませんが、「ストレス発散の手段が、買い物以外にない」状態となり、常に衝動買いしていると、嗜癖ということになります。
「コレクションが趣味だ」という場合にも、お金がなくなり、借金をしてまでも何かを集めようとしていたら、周りの人は「あの人は病気ではないか?」と思うでしょう。

好きで始めたことが、続けているうちに習慣になってしまったという理由もありますが、何か辛い出来事があって、一時的に逃げたつもりが、やめられなくなったという理由もあります。
親から欲しいだけの愛情を得られなかった場合に、心の中に開いてしまった穴を埋めるために、嗜癖が始まってしまうこともあるでしょう。
あるいは、親がアルコール依存症で、それを普通の状態と認識して大人になってしまい、それほど抵抗なく嗜癖を抱えてしまうこともあるかもしれません。
始まった時点では特に問題がなくても(薬物などは別として)、やめようと思ったらやめられなくなっていたとなると、ご本人にとっても、辛いことと思います。

嗜癖は、その「物」に執着することが問題なのではありません。
「何かに」執着しないといられない「精神状態の歪み」が問題なのです。
例えば、毎晩お酒を浴びるほど飲み、タバコも何箱も吸い、さらにはギャンブルもするといったような、一人で嗜癖をいくつも抱えてしまう場合もあります。
また、アルコール依存症の方を、一生懸命病院へ連れてゆき、やっと回復したと思ったら、今度は新しく買い物依存症を発症してしまったということもあります。
嗜癖の対象は、こういったケースでは、何でもいいということになります。
とにかく、何かにしがみついていないと、自分を保てないというような心理状態に陥っているのではないかと想像できます。

ご本人が、嗜癖と自覚していながらも、うつ病などによって辛い状態になっていて、その辛さを紛らすために嗜癖があるのだとしたら、ご本人は、問題があるとうすうす気づきながらも、やめる気には、なかなかならないことでしょう。
嗜癖があるから何とか過ごせている、という、生きがいのような感情さえも、時にはあるかもしれません。
このような場合だと、ご家族が最初に医師に相談するなど、ご本人に通院を強く勧めて、治療が始まることもあります。

虐待と同じように、嗜癖も、親から子へ、そして孫へと、連鎖する可能性があります。
ですから、どこかで断ち切らなければいけません。
嗜癖家族」といったように、家族全員が、何らかの嗜癖を抱えているということすら、あるからです。

もし、ご家族の誰かが、嗜癖なのではないかとお思いの方がいらっしゃいましたら、まずは医師に相談なさってはどうかと思います。
さきにも述べた通り、病的な嗜癖かどうかは、ご本人やご家族では、判断しにくいことがあります。
冷静な第三者で、専門知識も持つ医師に判断してもらい、治療の必要があれば、何とか治療を続けられるようにサポートする必要が、出てくるかと思います。

特に、嗜癖の対象が、抗うつ剤や睡眠剤など、依存性のあ
るものだったら、独断で急にやめてしまうと、その反動で、前よりも状態が悪化する可能性もあります。 このような場合は、必ず医師の指示に従い、ゆっくりと減らしてゆくように、サポートしてあげて下さい。

さらには、嗜癖があると判断された場合でも、抑うつ状態が特にひどく、嗜癖が唯一の支えとなっていると考えられるなら、抑うつ状態の治療を第一に考え、抑うつ状態が治まってくるまでは、敢えて嗜癖をそのままにしておく、というケースも考えられます。
治療した方がいい、病的な状態だったとしても、すぐに治療するかどうか、そのタイミングも重要なのです。

また、もしもあなたが、嗜癖を抱えているかもしれないと不安になったなら、自力で断ち切ることができるかどうか、まずは考えてみて下さい。
難しいと思ったなら、迷わず医師に助けを求めてもいいと思います。
アルコール依存症など、特定の嗜癖の回復を目指す自助グループもあります。
同じ悩みを持つ方同士、励ましあいながら、一緒に回復を目指すという道もあります。