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共依存とは?

アダルトチルドレンについて、共依存とは?

嗜癖の中でも、人間関係を対象とした依存のことを、区別して「共依存(きょういぞん)」と呼びます。

ここで重要になるのが、「共依存」の「共」の字です。
人と人との関係で、どちらか片方がその関係に依存しているのではなく、お互いに依存しあっている状態を指して言います。

親離れできない子、子離れできない親、DV(ドメスティックバイオレンス・虐待)を受けながらも別れられない恋人など、いろいろなケースがあります。

「ヤマアラシのジレンマ」というお話があります。
「ハリネズミのジレンマ」とも言います。
2匹のヤマアラシ(ハリネズミ)がいて、お互いのことをとても好きなのだけれど、くっつこうとすると、相手の針が刺さって痛いのです。
だから、一度は離れてみるのですが、やはり相手のことが好きで、そばにいたい。
でも、近づきすぎると痛い。
それを繰り返していくうちに、お互いに痛くなく、満足に一緒にいられる距離を見つけ出すことができたというストーリーです。
それに似ています。

人は、一人では生きられません。
誰かを必要とし、誰かに必要とされたいというのは、ごく普通に、誰にでもある欲求です。
それが、病的な状態になり、相手との距離感がわからなくなってしまった状態が、共依存です。
一緒にいたいのに、一緒にいると、なぜか辛い気持ちになることがあります。
それでも、離れられないのです。
自分と相手との距離感が適切でないために、相手の領域に侵入し、相手を支配しようとしてしまうこともあります。

いちばんわかりやすいのが、「アルコール依存症のご主人を支える奥さま」の図です。
ここでは、まず第一に、ご主人の回復のために、奥さまの協力が必須となっていますので、ご主人は、奥さまなしでは過ごせないということになります。
しかし実は、第二に、奥さまが「この人は、私がいないとだめなんだから」と思って、本当は離婚したい気持ちもあるけれど、献身的に支えているという依存も、同時に存在しているのです。

ここでは、双方が共に助け合っているという図式になりますから、お互いに、「治療が必要」という自覚はないかもしれません。
(ご主人も、奥さまに支えられることによって、奥さまの「この人は、私がいないとだめなんだから」という気持ちを実現しているので、結果として、お互いに助け合っていることになるのです)

ですが、このご夫婦は、2人が一緒にいることが問題なのではなく、個別に嗜癖を抱えていて、結果として共依存になっているということが問題となります。
極端な例ですが、仮に奥さまが離婚したとして、再婚した相手もまたアルコール依存症だったというケースもあるのです。
ご本人にとっては、「どうしようもなく惹かれてしまう」というお気持ちなのだと思いますが、その裏には、「自分を必要としてくれる人と一緒にいたい」という、「自分の存在を受け入れて欲しい」欲求があります。 これは、アダルトチルドレンの方の心理として、可能性のあることなのです。
そして、「自分が行動を起こすことによって、相手の気持ちを惹き付けたい」という、これも、典型的なアダルトチルドレンの方の心理です。

ご主人は、奥さまにもっと自分を見て欲しいと思い、飲酒することで、奥さまの目を自分に向けようとコントロールする。
奥さまは、ご主人を献身的に支えることで、ご主人に「俺にはこの女性が必要なんだ」と思って欲しいと思い、コントロールする。
お互いが、お互いをコントロール(支配)している状態です。

すると、このご夫婦の間に生まれた子供も、奥さまがご主人を支えるのに懸命なあまり、十分な愛情を得られず、成人したらアダルトチルドレンになっていたというのも、納得できる話です。
そして、ご両親の姿を見ていて、自然と嗜癖を抱えてしまうかもしれません。

それが続いていけば、あっという間に「嗜癖家族」になってしまいます。

このように、アダルトチルドレン嗜癖の問題は、当人にとっての問題であると言うよりも、むしろ、家族全体の問題です。
一人だけがこの問題に気づき、どうにか対処しようとしても、連鎖を断ち切ることができない場合も、多くあります。
家族カウンセリングという、家族でカウンセリングを受ける方法がありますが、これはアダルトチルドレンの方の治療の時に、用いることがあります。
機能不全家族と呼ばれるのは、こうした理由からです。

誰しも、「自分は病気(病的)だ」とは認めにくいですし、まして、「家族全員が問題を抱えている」となると、その現実を受け入れるのも難しいかと思います。
そんなところにも、治療の難しさがあるのかもしれません。

ですが、今や、このような状態は、どこの家にでもあるのではと思えるくらい多くなってきています。
悲しい連鎖の結果なのかもしれません。

まずは、「受け入れること」が、大切になってくるのではないかと思います。
ご家族全員で、一緒に困難を乗り越える気持ちになれたなら、きっと将来は変わってくると思います。

前の「嗜癖とは?」のページで述べた通り、治療を始めるタイミングも大切です。
そのタイミングは、医師の指示を仰ぐのが、より適切ではないでしょうか?