立ち直りの段階

立ち直りの段階

グリーフワークの4つ目のプロセスです。
現実受容、新しい生き方の確立

プロセス1、2、3のすべて、あるいは、いずれか1つ以上を経て、心の中が静かになってくる状態です。
故人が亡くなったことを、ようやく認められるようになります。
そして、新しいことに関心が出てきます。
故人の苦しみを自分で背負っていたように感じていた人も、次第に発想の転換ができるようになります。
「あの人は、自分で死を選んだのだ。誰にも止められなかったのだ」
「あの人は、今も私のそばにいてくれている」
「いつか自分が死んで、あの人と再会した時、恥ずかしくない自分でいられるよう、精一杯生きよう」というような感じです。
何が真実か、というよりは、どう考えれば自分の気持ちが楽になるか、と、死の捉え方が変化してくると言えばいいでしょうか。
次第に故人の記憶が、やわらかな思い出に変わり、自分の人生を生きる気持ちになれます。
そして、今まで自分を責めていた方も、変わりゆく自分の気持ちを許し、時の流れで受け止め方が変化するのを認められるようになります。

私の立ち直りの段階

妹を亡くした直後に、「もうすぐ私も死ぬだろう」と思っていたので、自分の今後のことについては関心がありませんでした。
主人とは、妹を亡くした半年後に出会い、4年ほどの交際期間を経て結婚しましたが、うち2年は、交際とは呼べない、ただの友達のような関係でした。
メール交換のみで、会ったこともありませんでした。
実際の交際期間2年のうち1年は、私がひどい抑うつ状態となり、発作的に妹の事故現場へ行ってしまったり、布団から一歩も出られなくなったりと、主人から婚約破棄を言われたこともありました。

主人との結婚も、考えなかったわけではありませんが、結婚したら、相手を幸せにできるよう、お互い協力・努力しなくてはいけないと思い、ためらっていました。
いつ死んでもいいやという、投げやりな気持ちのままで結婚するのは、無責任に思えました。
それでいて、結婚したいという気持ちも強くあり、主人の気持ちが離れてゆくのをとても怖がっていました。

主人には、妹のことを早い段階で打ち明けていましたが、やはり交際するかどうか、結婚するかどうか、何度も考えました。
すでに精神科に通院していて、うつ病との診断を受けていたので、うつ病の治療の基本となる「環境を変えない方がいい」という観点から、医師にも「まだ結婚は早いのでは」と言われていました。

ですが、半ば勢いで、結婚しました。
主人に、「私は死にません」と約束しました。

結婚した後も、私の飲酒は続いていましたが、ある日突然、「大量のお酒をレジ袋に入れて、とぼとぼ歩いている自分」が、とても醜いような気がして、お酒をやめようと思いました。
不思議と、やめようと思ったその瞬間から、飲まなくなりました。
飲みたいとは思いませんでした。

そして妊娠しました。
やはり通院しており、気持ちが不安定だからと、「今回は諦めてはどうか」と医師の言葉もありましたが、迷った末、産むことに決めました。

自分でも信じられないくらい、妊娠時、私の気持ちは落ち着いていました。
育児をしている今となっては、子供の顔が妹に似ているのと、「当時妹は、こんな大変な育児を、愚痴もこぼさず頑張っていたのか」という思いから、気持ちが不安定になることもありますが、通院しながら、どうにか過ごせています。

「きっちり元気になってから結婚しよう」「出産しよう」というのではなく、「うつ病とどうにか付き合いながら、人の助けを借りて、不完全なままでも始めてみよう」という気持ちです。

うつ病の治療途中ですから、私のグリーフワークが完了したとは、まだ言えないのかもしれません。
でも、「結婚」「出産」と、2つの出来事を経て、私に家族が3人増えました。
その3人と一緒に、末永く、仲良く暮らしていきたいというのが、今の私の願いです。

本当に完了するのに、あと5年くらいは、かかるかもしれません。
でも、いつかは完了するだろうと思えるようになりました。