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死にたくて死んだ?

自殺について、死にたくて死んだ? よく言われる言葉ではないかと思います。

ある女性から、こんなことを言われました。
「○○さん(妹)は死にたくて死んだんだから、向こうで幸せにやっているでしょう」
この言葉は、一番ショックを受けたものとして、今でも記憶に残っています。

妹の、亡くなる直前の言動を知らなかったからこそ、出てきた言葉なのかとも思います。
あるいは、そう思うことで、自分を慰めようとしていたのかもしれません。
世の中の誰かは、そんな誤解をしているかもしれないな……と、思ってはいたのですが、近親者の口から直接聞くとは思いませんでした。

繰り返しになりますが、妹は「本当は死にたくない」と、実際に言っていたのです。
結果、死に至ることになりましたが、結果だけを見て、「きっと死にたかったのだろう」と決めてしまうことは、早計ではないかと思います。

以前設置していた掲示板にも、時々「死にたい」と書き込みをなさる方がいらっしゃいました。
ですが、そうした方々の多くが、「助けて」「どうしたらいいのか」と、同時に書いていらっしゃいます。

真っ直ぐに、「死」しか見えない、「死にたい」と心から思っている人がいるならば、こうした、生への望みや、生死の間での迷いは、きっと出てきませんね。
「死にたい」と口に出す方のほとんどは、恐らく、同時に「死にたくない」という気持ちも持っていらっしゃると思います。

「死にたくない」「死ななければ」「死にたい」……。
自分の気持ちと、病気の症状で歪められた気持ちとに挟まれて、心の中での葛藤はどれほどのものかと思います。
「死にたくないけれど、もう死ぬより他に方法がない」と、視野が極端に狭くなってしまっている状態です。
だから、誰かに「他に方法はないの?」という気持ちも込めて、「死にたい、でも死にたくない」と訴えるのではないでしょうか。

その瞬間、どちらの気持ちが大きくなっていたか。
そして、死ねる環境がたまたま整ってしまっていたか。
あるいは、アルコールや薬により、判断能力が低下している状態になっていたか。
そうして、死への、魔のタイミングがやってくるのだと感じています。

「死にたくない」「死にたい」
その気持ちはどちらもが本物で、そして本当の気持ちは「死にたくない」です。
身体的なご病気で亡くなる方と、何ら違いはありません。

「世の中には、生きたくても生きられない人だっているのに」
こうした批判は、恐らく的外れなのだと思います。
死のうとしている方もまた、「生きたいのに、生きられない(と思ってしまっている)人」なのですから。