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自殺したいと打ち明けられたら?

自殺について、自殺したいと打ち明けられたら? 何らかの形で、兆候を見つけたか、あるいは相談された方、宣言された方だと思います。
とても不安なお気持ちだと思います。

もし、初めてそのお話を聞くことがあったなら、まず、深呼吸してみて下さい。
とても不安なお気持ちになっていると思います。
驚くでしょうし、怖いでしょうし、どうしていいかわからないと思うかもしれません。
そんな時はまず、深呼吸をなさって下さい。

あなたが不安に思っているのと同じように、ご本人も、きっと不安な気持ちでいらっしゃいます。
誰にも言えない悩みを、勇気を出して打ち明けたのかもしれません。

深呼吸をして、少しでも気持ちが落ち着かれたなら、次に、ご本人の言葉を、出てくるだけ全部、聞いてあげて下さい。
ご本人が言葉に詰まるようなことがあったら、そのまま待ってあげて下さい。
助け舟を出して次の言葉を促せるなら、それもいいかもしれません。
ご本人に無理のないよう、話せることだけ、全部聞いてあげて下さい。

これは、「傾聴」と呼ばれる方法です。
傾聴には、相槌と、丁寧な聞く姿勢の他、何も要りません。
ご本人の心を言い当てようとしたり、また、アドバイスをしたりすることは、なくていいのです。
反論も、この段階ではまだ早いので、ただ、ただ、話を聞いてあげて下さい。

ご本人が、安心してお話できる環境を作ることが、まず第一です。

ひととおりお話が済んだと感じられたなら、次に、まず、心の中で、「今の気持ちは、本当の気持ちではなく、一時的に迷っている気持ちなんだ。本当の気持ちとの間で、揺れ動いて辛い気持ちなのではないか」と、思ってみて下さい。

今聞いたお話は、もしかすると、どこかちぐはぐだったり、かたくなだったり、あなたの考えと違っていたりするかもしれません。
ですから、「あなたの気持ち、よく分かるよ」とは、言いにくいかもしれませんね。
では、「あなたはきっと辛いんだろうね。全部理解したなんて簡単には言えないけれど、辛さは伝わってきたような気がするよ」という言い方なら、どうでしょう。
こうした同意ならば、できると思いませんか?
少し言い方を選んでみて、あなたなりの、同意できることについて、お話してあげて下さい。

ただ、1つだけ、「このことは誰にも言わないでね」という約束に、反射的に同意してしまうことは好ましくない場合があります。
医師など、プロの手を借りた方がいいことが出てくるかもしれないからです。
「私の信頼している人には、話すかもしれないよ。でも、広めたりすることはしないから」と、やんわりと伝えてみて下さい。

そして、そのお話の中で、「あなたに生きていて欲しい」ということも、付け加えてあげて下さい。
たとえご本人が「死にたい」と言っていたとしても、それが本心とは、考えにくいかと思います。
本当は、「生きたい」と、誰より強く願っているのかもしれません。
ですから、こうお話しても、それは反論とは少し違います。

以前、「何度も友人から『今から死ぬ』という電話を受け、そのたびに助けに行くと、本人はケロッとしている。これは、嘘をついて気を引こうとしているだけではないか?」という方のお話を聞いたことがあります。
その可能性も、ないとは言えません。
でも、もしかしたら、友人のもとへ助けにいくたびに、この方は、何度も、自殺自殺未遂が起こらないよう、防いでいたのかもしれません。
結果的に何事もなかったので、この方は、だんだん疲れてしまうでしょう。
嘘をついているのでは? という気持ちが出てくるのも、わかるような気がします。
ですが、その方が、友人にとって、本当は命の恩人だったという可能性も、十分にあるのではないでしょうか。

蛇足ながら、私は妹が「死にたい」と言っていた時、まだ無知で、それを本心だと思っていました。
ですから、「生きていて欲しい」と言うのは、私のわがまま、エゴではないかと、内心迷っていました。
「本人が死にたいと言っているのに、『私が淋しいから』という理由で『死なないで』と言うのは、間違っているのではないか」と。
今ならば、「死なないで」と、胸を張って言えます。

さらに、もう少しお話を続けられるようならば、ご本人が精神科などに通っているか、もし通っていないとしたら、一度通ってみてはどうかと、勧めてみてもいいと思います。
あなた自身のお気持ちを、お話した後です。
ご本人のお話を聞いて、即座に「病院へ行ったら?」と言ってしまうと、ご本人の言葉を否定したように、「頭がおかしいと思われたんだ」などと勘違いされてしまうことも考えられますが、あなた自身のお気持ちを伝えた上での言葉ならば、聞き入れてもらえるかもしれません。
もしご家族ならば、通院に付き添う約束をしてもいいと思います。

そして、もしあなたがそう思うならば、「何かあれば、また話してね」と、伝えてあげて下さい。
同時に、「常に話を聞けるとは限らないけれど、聞ける時は聞くから」と、ご自身のことも気遣ってあげて下さい。

誰でも、24時間体制で人に付き添うのは、大変なことです。
調子のすぐれない時、忙しい時もあるでしょう。
「できない時もある」と伝えることは、とても大切なことだと感じています。
そして、むしろ、そう伝えることによって、ご本人に、「話を聞いてくれている今は、話をしてもいい時なんだ」と、安心してもらうこともできるのです。
ご自身を労わる姿勢も、忘れないで下さい。
疲れていては、気持ちに余裕がなくなってしまいますから。

また、「私が助けてあげなければ」と思う気持ちは、たいへん優しいものですが、時に危険です。
あなたが医師でないならば、専門的なことについて、わからないことが多いと思うからです。
説得するだけで問題が解決する時ばかりではありません。
時には、医師、カウンセラー、ソーシャルワーカーなど、プロの手を借りる方がいいこともあると、お考え下さい。

医師、カウンセラーは、メンタルクリニックなどを探せばいいでしょう。
ソーシャルワーカーは、保健所などで、無料相談を受けてくれる場合もあります。
(地域によります)
ソーシャルワーカーは、その地域での口コミ情報を持っている場合もあるので、どの病院を選べばいいか迷った時、相談してみるのもいいと思います。
「女医がいる病院」「○○駅から近い病院」「夜も診察している病院」「うつ病を得意としている医師」など、さまざまな質問に答えてくれる、力強い存在になってくれるかもしれません。

自殺が身近な危険として迫ってきていると感じた場合は、ご本人を一人にしないなどの配慮が必要になります。
あからさまに見張るというのではなく、隣室など、姿の見える場所にそれとなく控えているというような姿勢です。
こうして、自殺を実行できるような環境の条件を、1つでも外すように試みてみて下さい。
同時に、病院、保健所、警察など、頼れる場所も探してみて下さい。

その人のために何かしたい、という気持ちを持っていただけると嬉しいです。
その人のために何かしてあげよう、というのではなく。
気持ちは、案外相手に伝わります。